相続について
弁護士に相談して遺言状を書きましょう。

〈 弁護士費用 〉

  • 相続人調査(戸籍謄本、住民票等の取得)..... 5万2500円から
  • 遺言書作成..... 15万7500円
  • 遺言書検認(けんにん)手続..... 21万円から
  • 相続放棄..... 1件/5万2500円
  • 限定承認..... 1件/31万5000円から
  • 示談交渉..... 21万円から
  • 調停申立..... 42万円から
  • 訴  訟..... 52万5000円から

〈 遺産の残し方 〉

亡くなった人が生前に残していた財産は、遺産として、故人の相続人への相続という形で引き継がれることになります。
誰が相続人となるのかは、民法で定められており(民法で定められた相続人を「法定相続人」といいます)、相続人が複数いる場合は、民法で定められた割合で分配されることになります。

しかし、以下のような場合には、遺言状を作成することで自分の財産を自分の希望通りに渡すことが可能になります。

  1. 1. 民法で定められた割合とは異なる割合で遺産を分配したいとき
    (例えば、妻に財産を全部あげたい場合、絶縁状態になっている子供に財産を与えたくない場合など)。
  2. 2. 預金、株券、不動産など複数の種類の財産があるときに、どの財産を誰に渡すかをあらかじめ決めておきたいとき
    (例えば、妻と一緒に住んでいた家と土地を妻に相続させたい場合、会社を継がせる息子に会社の株を渡したい場合、たくさん財産があるので相続人同士もめないようにあらかじめ決めておく必要がある場合など)
  3. 3. 相続人以外の人に遺産を残したいとき
    (例えば、内縁の妻、子供のいない息子の妻、生前お世話になった知人に財産を渡したい場合など)
  4. 4. 認知したい子供がいるとき
    (家族との関係で今まで認知できなかったが、遺言で認知をして子供に財産を相続させたい場合)

しかし、法定相続人のうち兄弟姉妹を除く者には、遺言状によっても否定することが出来ない最低限の相続分が与えられています(これを「遺留分(いりゅうぶん)」といいます)。なぜなら、死後に残された家族の最低限の生活を保障する必要があるからです。
遺留分は、たとえ遺言状で法定続人の取り分を減らしたり無くしたりしても、取り上げることはできません。 そのため、遺留分を侵害する遺言を残した場合、相続人間で争いになることがあるので注意が必要です。ただし、この権利は、取り分を減らされた相続人が、「遺留分減殺請求」という形でその権利を行使して初めてその効果が生じるものですので、遺留分を侵害されたことを知った日から1年以内に遺留分減殺請求権を行使しなければ、遺言状通りの相続が可能となります。

自己の財産を死後自分の希望通りに相続させたい場合には、遺言状を作成することをお勧めします。

〈 遺言を作成する際のポイント 〉

遺言を作成する際には、ご本人の意思を最大限反映させることのほかに以下の点に注意する必要があります。

  1. 1. 法律に定められた形式を満たす
  2. 2. 死後に争いにならないような明確で一義的な記載をする
  3. 3. 痴呆やアルツハイマーなどの場合、遺言書作成時点での遺言能力を明らかにしておく
  4. 4. 死後に相続人らの間で遺留分減殺請求や共有物分割請求などの争いに発展することを避けるような遺言内容にする
このように遺言を作成するにあたり法的な問題にも配慮する必要があるので、弁護士にご相談になるのがよいです。

1.遺言状

公正証書遺言状
公証人に依頼し公証人が作成した遺言状です。法定の要件を満たしており無効とされることはほとんどありません。
自筆証書遺言状
全文自筆で末尾に作成日付と署名押印した遺言状。検認(けんにん)手続が必要で内容が相続人に知れてしまうこと、方式の不備により無効、内容の確定に争いが生じることがあるのが難点です。

検認(けんにん)とは?

自筆証書遺言状を家庭裁判所に持参し、どのような状態であるのかを裁判官が確認して調書に残す手続きです。検認の申立をすると全ての相続人に対し、通知があり、裁判官が遺言状の原本を確認する際に立ち会う機会が与えられます。

検認を受けた遺言状は全て有効ですか?

検認は、遺言状がどのような状態であったかを裁判官が確認して調書に残す手続きで遺言状の有効無効とは関係ありません。無効な遺言状が検認されることもあります。

◎遺言執行者。

遺言状に遺言執行者の記載はありますか?なければ遺言執行者の選任の申立を家庭裁判所にします。

:A子さんは30年余り妻子ある男性の秘書として公私にわたりお世話をしてきました。20年前からこの男性と同棲していますが子供はいません。男性には財産がありましたので公正証書遺言状で男性が亡くなったら、全財産をA子さんにあげるという遺贈の公正証書遺言状を作成してもらいA子さんが遺言執行者となっています。男性の妻子は相続権(遺留分)を主張してきてもめています。
処理:私が、A子さんの代理人となり、遺言執行者の代理人として銀行預金は全て解約して払戻しを受けました。妻子の相続権(法定相続分の2分の1の遺留分)については、遺産分割調停を申立、子や妻が男性の生前に受けた贈与を特別受益として主張し、遺留分から差し引いてもらい、遺留分相当の財産を渡して解決しました。

◎遺言状の書き直し

遺言状は、日付の新しいものほど有効です。古い遺言状と内容が相反する場合は、新しい遺言状で古い遺言を取り消したことになります。このことは、公正証書遺言状と自筆証書遺言状で差はなく、日付の新しい自筆証書遺言状で古い公正証書遺言状を取り消すことも可能です。

2.遺留分(いりゅうぶん)

遺言状でもっても侵害できない相続分です。遺留分を侵害する遺言状があることが判明したら、1年以内に遺留分減殺請求の意思表示をしなければなりません。遺留分があるのは、兄弟姉妹以外の相続人で割合は法定相続分の半分です。

:Aさん兄弟は父が生前家を出て、女性と同棲していたことが原因で父と不仲でした。父は、全財産を福祉財団に贈与する旨の公正証書遺言状を残して亡くなりました。遺産はAさんらが管理していましたが、福祉財団が贈与の履行を求めてきました。
処理:私は、Aさんらから相談を受け直ちに遺留分減殺請求を福祉財団にしました。福祉財団と民事調停をしましたが当時不動産が高額であることもあり、調停はまとまりませんでした。その後福祉財団は共有物分割の訴訟を提起してきました。結局、Aさんらは、訴訟の中で福祉財団と和解し、遺産を担保に銀行から借入をして、借入金と不動産の収益とで福祉財団に遺留分相当のお金を払って遺産の不動産を取得しました。銀行からの借入金は不動産の収益から支払われています。
〈例外〉
◎遺留分の生前放棄の許可の審判

遺留分は被相続人(財産を残して亡くなった人)は放棄できませんが、家庭裁判所の許可により、相続人が遺留分の生前放棄することができます。

:A子さんは、妻と死別した資産家の男性と再婚しようとしています。男性の子供は全て自立しており、A子さんと男性が同居すること自体には反対しませんが、A子さんが男性の遺産を相続することとなる結婚には反対しています。A子さんの親は資産家ですので、A子さんは男性の遺産を相続するつもりはありません。男性は、子に遺産を全て相続させるとの公正証書遺言状を作成して、A子さんと結婚し、A子さんは遺留分の生前放棄許可を受けました。

◎生前贈与株式の遺留分除外同意

一定の要件のもとに会社の後継者に生前贈与される中小企業の株式について相続人から同意を得ておけば遺留分算定の際に遺産から除外されます。

3.負担付遺贈(いぞう)

母のめんどうをみる代わりに長男にたくさんの遺産を相続させるという遺言状があります。これを負担付贈与と言います。ところが、長男は遺産をたくさん相続したのに母のめんどうをみず、みかねた他の兄弟が母を引き取ってみています。長男に母の扶養料を払うように言ってもききません。なんとかなりませんか?

負担付遺贈の取消請求という制度があります。
長男が母のめんどうをみず、扶養料も払わない場合、催告した上で家庭裁判所に負担付遺贈の取消請求をします。裁判所が長男の不履行を認定すれば長男に多く与える部分の遺言は取り消され法定相続となります。

 

〈 遺言状がないと法定相続 〉

相続人と相続割合は?

配偶者(夫・妻)は常に相続人となります。
配偶者と同じ順位で相続人となるのは、子、親、兄弟姉妹の順です。

具体的に説明すると

配偶者(夫・妻)と子がいる場合
配偶者2分の1 子2分1(複数いる場合は、2分の1を均等にわけますから2人いれば、1人4分の1、3人いれば1人6分の1です。もっとも親が結婚していない場合は、結婚している子の2分1です)。

養子はどうなりますか?
養子も同じです。すなわち養子は養親と実親の双方から相続できます。養子に行ったから相続権はないというのはまちがいです。
① 特別養子
この例外が6歳未満の子供と養子縁組して実父母との血縁関係を終了させる請求を家庭裁判所になす特別養子です。特別養子は、実父母の遺産を相続できず、養父母の遺産のみ相続します。
② 子がおらず配偶者と親がいる場合
3分の2 父母3分の1
③ 子がおらず、親は亡くなり、配偶者と兄弟姉妹のある場合
配偶者4分の3 兄弟姉妹 4分の1
④ 兄弟姉妹
子がおらず、親は亡くなり、配偶者は亡くなるかいない場合

◎代襲相続
相続人が亡くなった人より先に亡くなった場合、その相続人の子が相続人となります。おじや叔母が父母より先に亡くなった場合は、いとこが相続人となります。

〈 相続するときのポイント 〉

1.相続人調査・ 家庭裁判所への申立

相続の場合、家庭裁判所への各種の申立には、亡くなった人の生まれてから死ぬまでの戸籍謄本と亡くなった人とのつながりがわかる相続人全員の戸籍謄本の添付が義務づけられることが多いです。相続人の知らない相続人があることがあるからです。しかし、これを一般の人が取得するのは役所が個人情報保護に神経質になっている現在かなり困難なことです。

弁護士に依頼した場合、職務上請求といってスムーズに戸籍謄本を取得することができますし、相続関係の見落としもありません。したがって相続人調査の段階から弁護士に依頼して調査してもらうのが賢明です。

:Aさん夫婦には子供がなく、Aさんは自宅の持分を配偶者に対する生前贈与の特例を利用して妻に贈与していましたが、妻が先に亡くなりこの相続手続きをすることになりました。私がAさんから依頼を受け、妻の自宅持分相当を妻の相続人である兄弟に支払ってAさんが自宅を単独相続できるようにすることにしました(代償分割と言います。)。戸籍謄本を請求するうちに妻の父母は双方共二度結婚し、二度とも、子供のあることがわかり、かなりの数の妻の兄弟が相続人であることがわかりました。妻の兄弟に手紙を書き、持ち回りの遺産分割を成立させ、Aさんに単独相続させることができました。

この件では相続人間の合意が得られましたが、合意を得ることができないケースでは、家庭裁判所に遺産分割調停を申立、話し合い、合意が成立しない場合に家庭裁判所に分割方法を決めてもらうことになります(遺産分割審判(しんぱん)と言います。)。

2.3か月以内に放棄

借金がたくさんあって、遺産では払い切れない場合は、亡くなってから(正確には自己のために相続が開始したことを知ったときから)3か月以内に家庭裁判所に放棄の手続きをします。

放棄したとき他の相続人への影響は?

注意しなければならないのは、相続人が放棄すると次の順位の相続人が相続人となることです。たとえば、子が放棄すると父母や兄弟姉妹もが相続人となることです。

妻子が放棄したので兄弟である私が相続人となりました。亡くなってから3か月以上たってしまいましたが、放棄できますか?

できます。この場合3か月の期間は、妻子が相続放棄したのを知った時から起算します。

生命保険は遺産でしょうか?

生命保険の保険金は遺産ではありませんので放棄しても受領できます。
:夫は商売をしていましたが、銀行や消費者金融で多額の負債を負担し、病死してしまいました。自宅は銀行の担保となっており売却しても残りは出ません。生命保険に加入していましたので、保険金が3000万円出ました。銀行は自宅を売却してくれと言ってくるし他の債権者から問い合わせがあり不安です。
処理:自宅を売却するとせっかく放棄しても、承認したものとみなされます(法定単純承認)のでご用心。私が受任し、相続人全員が相続放棄し、債権者の対応や自宅の売却は、相続財産の破産の申立して、破産管財人の弁護士にしてもらいました。

3.3か月以内に限定承認

ある程度負債があるが、負債を返済しても、財産が残りそうな場合は家庭裁判所で限定承認の手続をとり、弁護士を代理人として依頼して負債整理の手続をしてもらいます。

:夫は商売をしていましたが、銀行や消費者金融で多額の負債を負担し、自殺してしまいました。自宅は住宅ローンについていた保険金でローンがなくなりましたので自宅を売却すれば、借金の返済をしても残りが出そうですが将来のある子供が相続するのは心配です。
処理:私が受任し、子供と兄弟は放棄、妻は限定承認、私が妻の代理人として自宅を売却して、商売が左前になってからお金を用立てていた身内の債権者の方にも債権者として入ってもらい債務を弁済し、のこった財産を妻にお渡ししました。

相続人がいないようです。

:A子さんの両親は、結婚してしばらく子がなかったので、遠縁のB子さんを養女としましたが、まもなくA子さんが生まれました。A子さんとB子さんは子供のときから姉妹のように仲良くしていましたが、B子さんが結婚するに際して養父母と離縁しました。A子さんは父母と同居して結婚せず、亡くなりました。養父母も亡くなり、A子さんの兄弟もないので相続人はありません。A子さんは遺産として父母から相続した自宅と株式やお金がかなりあります。
処理:私が受任し、相続財産管理人の選任申立をして、相続財産管理人を選任してもらい、B子さんを特別縁故者として遺産を相続させる申立をして、B子さんが遺産を相続しました。

4.3か月以内に何もしないと単純承認

資産だけでなく負債も相続します。

5.法定相続分の調整

  1. 1. 特別受益
    特別受益とは、相続人が亡くなった人から、結婚または養子縁組に際して、あるいは生計の資本として贈与を受けた場合、この金額を遺産に加えた後、その人の相続人の相続分から差し引いて相続人間の公平をはかる制度です。遺留分計算の際にも特別受益の調整がなされます。
  2. 2. 寄与分
    寄与分とは、亡くなった人の仕事に専従者として従事して世間相場の給与をもらっていなかった人、亡くなった人の仕事に出資したり、借金の返済をしたりした人、亡くなった人の世話をしたりして亡くなった人の財産の維持や増加に特別の寄与をした人については、その寄与分をお金に換算して遺産から差し引き、その人の相続分に加える調整です。
    :Bさんは父の商売に青色専従者として長年従事してきました。Bさんは父と同居していましたので、所帯は母がし、必要額を母に言ってもらっており、専従者給与は帳面上だけで実際にはもらっておらず、ただ働きも同然でした。
    母が先に亡くなり、父もすぐに亡くなりました。残された遺産は店も含め全て父の名義となっています。遺言書はなく、兄弟は法定相続で均等に分けるべきだと主張しています。
    処理:調停申立し、同時に寄与分を定める審判の申立をしました。そして調停で話し合った結果、遺産の1割ほどをBさんの寄与分と認める合意をして遺産を分けることになりました。

6.口座封鎖

ある程度の資産家の場合、銀行が死亡を察知して、銀行預金を封鎖し、あるいは相続人の1人が銀行に死亡した旨を通知すると銀行は相続人の全員の実印がなければ払戻しに応じなくなります。
葬儀費用等の支払にも困りますので、当座の費用等は相続人間で話し合いをして、払戻し請求することが多いですが、その後は分割協議ができるまで預金は塩づけとなってしまいます。

:Aさんは2人兄弟で、母は既に亡くなっています。父が死亡し、兄が通帳等を管理し勝手に預金を引き出しているようなので、Aさんは、銀行に父が死亡したことを連絡しました。兄は、立腹してAさんの分割協議に応じず、銀行も払戻しに応じません。
処理:私が受任し、銀行に対し、半額の払戻し請求をしたところ一部の銀行は任意に応じてくれました。任意の支払に応じてくれない銀行と兄に対しては、訴訟を提起し、預金の半額と死亡後に引き出した預金の半額の支払請求をしました。兄にも弁護士がつき、銀行に対しては連名で払戻請求し、死亡後引き出した預金については入院費用や葬儀費用を清算して半額を支払う和解が成立しました。