えせ保護命令の申立
配偶者からの暴力の防止及び被害者の保護等に関する法律に基づく保護命令という制度があります。DV被害者への加害者の接近を刑罰でもって禁止する制度です。
民法は離婚についてまず当事者で協議することし(協議離婚)、協議できない場合に調停をすることとなっています。実際、別居後、別居した配偶者に連絡をとる必要もあります。DV被害者への接近を刑罰でもって禁止する保護命令は、家事事件の保全処分よりも強力なものです。
そこで配偶者の暴力等に関する保護命令の発令に際しては
被害者が、
配偶者からの身体に対する暴力を受けた者である場合にあっては
配偶者からの更なる身体に対する暴力により、
配偶者からの生命等に対する脅迫を受けた者である場合にあっては
配偶者から受ける身体に対する暴力により、
その生命又は身体に重大な危害を受けるおそれが大きいとき
であることが必要です。
ところが生命身体に重大な危害を受けるおそれが大きいと言えない場合の申立が増えています。子を連れて別居後しばらくしてこの種の申立をし、居場所を探せなくして、子供に会えなくして離婚に関する協議をできなくしてしまいます。
このような必要性のない保護命令に対しては、裁判所で争えば却下決定してもらえます。要件を具備しない保護命令の申立に対しては争うべきです。