共有ビルの相続
Aさんの父は、繁華街で平屋の店舗を借り、食堂をしていました。父が亡くなり、母と兄の3人で食堂をしていました。
ところが、家主が倒産して、建物が競売となりました。建物は借地上の建物でした。Aさんは自分で勉強して、建物を裁判所の競売手続で3人共有で取得し、弁護士を依頼して地主の承諾に代わる許可の裁判をしてもらいました。
その後、木造の建物をビルに建て替えることとして、弁護士に依頼して、木造建物から鉄筋コンクリートのビルの所有目的に借地条件の変更の裁判をしてもらい、銀行からお金を借りて、地主に一時金を支払って、3人共有でビルを建て、1階で兄と2人で食堂をしていました。
この度母が亡くなり、
母の遺産相続
ビルの共有物分割
が問題となりました。
Aさんは、建物の買受けや借地をめぐる弁護士と打ち合わせ、ビル建築に伴う、建築業者や銀行との打ち合わせや諸手続を全て自分でし、兄は知らん顔でしたので、この際、母の遺産である3分の1の持分はAさんが単独相続し、兄の3分の1の持分の買い取りを希望しています。Aさんがビルの収益を管理していたおかげで、お母さんの遺産には、預金や投資信託があります。
私が受任して、家庭裁判所に遺産分割調停の申立をしお兄さんと調停で調停委員を通じて話をして
Aさんがお母さんのビルの持分を単独相続する(遺産分割)
Aさんは、お兄さんビルの持分を買い取る(共有物分割・この場合は借地権譲渡となりません。)。
ということとなりました。具体的には、Aさんはお母さんの遺産の預金や投資信託のAさんの取り分で、お兄さんのビルの持分3分の1とお兄さんの相続したお母さんのビルの持分6分の1を買い取ることとなったのです。
こうしてAさんはビルを単独所有することができました。
調停でまとまらない場合は、遺産分割については家庭裁判所で審判、共有物分割については地方裁判所で訴訟となるのですが、A さんの場合は、家庭裁判所は、地方裁判所での訴訟を見越して、ビルについてはAさんとBさんの共有とする共有審判をして、地方裁判所で共有物分割の訴訟をすることとなり、お兄さんも物件の取得を希望して譲らない場合は、最終的にはビルは競売されることになります。この件は、Aさんの望みどおりの良い解決ができました。