住宅の遺産控除(持ち戻し免除)
住宅の遺産分割からの控除(遺言)
民法の相続法改正を審議している法制審議会は、結婚20年以上の夫婦について、夫婦間贈与で贈与された自宅を遺産分割の対象外とする案を審理中との新聞報道が平成29年7月にありました。
現行法では、夫婦間贈与で自宅が贈与された場合も、特別受益として、一旦遺産に戻した上で、配偶者の相続分から差し引くという特別受益の持ち戻し計算がなされます。
この持ち戻しをしなくよいというのが、民法第903条3項の持ち戻し免除の意思表示で、被相続人が生前にこの意思表示をしている場合は、生前贈与財産は、持ち戻し計算をしないことになります。もっともそうすると、遺産を全て生前贈与して持ち戻し免除の意思表示をしておけば、法定相続人の相続分を無視できることとなるので、持ち戻し免除の意思表示は、法定相続人の遺留分(法定相続分の半分)を侵害しない限度でしか効力を認められません。
相続法の改正案では持ち戻し免除の意思表示がなされたものと推定する規定が設けられるようですが、改正前でも、遺言状で持ち戻しを免除することにより、同様の効果が得られます。