別居後、夫が住宅ローンを払っている自宅に居住する場合の婚姻費用 | 藤井義継法律事務所

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藤井義継法律事務所の法律コラム《解決事例》

  • 解決事例

    別居後、夫が住宅ローンを払っている自宅に居住する場合の婚姻費用

     

    1 依頼の経緯

      妻は、有責配偶者である夫の離婚請求に対し、地裁、高裁と勝訴して確定しました。二女が、高校に入学するのを機に、離婚して自宅を出て年老いた両親と同居することにしました。

        長男長女が15歳となったので、婚姻費用や養育費の算定の際の係数が62から85に上がることを理由として婚姻費用の増額も併せて受任しました。

      裁判所の考えは、子が15歳となったことは当然増額の理由となるというものです。

    2  まず夫と直接交渉しましたが、実家で暮らしているのにお金がないと婚姻費用の増額に応じません。夫は弁護士を依頼しましたが、夫の弁護士は、増額は認めるものの、住宅ローンの差引を主張して譲りません。

    3 そこで家庭裁判所に婚姻費用の増額と離婚の調停申立をしました。

    夫の弁護士は、相変わらず住宅ローンの差引を主張します。

    婚姻費用算定の際の住宅ローンの差引については、

    有責配偶者の場合は、認められないとする考えと有責配偶者の場合も、一般の場合と同様、夫が家賃を負担している場合は、妻と同程度の収入の人の統計資料の住居費の差引を認めるという2つの考えがあり、裁判官によって異なります。本件の場合夫は、実家に居候しており家賃を負担していませんので住宅ローンの差し引きは認められないと主張しました。

    ところが、裁判所の考えは、前の婚姻費用の調停の際に住宅ローンを差し引いて決めたので、差し引くというものでした。

    4 前の調停の際に住宅ローンを差し引いたのは、妻が自宅を取得する前提があったからですが、その前提がなくなったので、事情変更があり、住宅ローンの差し引きは認められないと主張したところ、裁判所も住宅ローンの差し引きを認めないとの考えを示しました。

    5 そこで、婚姻費用算定の際の係数が62から85に上がる15歳計算で婚姻費用を計算し、離婚までの差額120万円を離婚慰藉料とあわせ解決金でもらうことになり、婚姻費用の増額の申立は取下げ、離婚調停が成立しました。

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